仕事は荷物を担いて走る長い障害物マラソンだ。 |
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2016年 05月 05日
宇宙開発も小さな仕事の積み重ねでできている。 ただしやりたいことのスケールが大きい。 初めてのこと。誰もやったことがないこと。できそうか、無理かの境目が常に変わり、やるべきことの全容が見えにくい。始めるからには失敗はできない。だからゴールできる見込みをつけてから、慎重に荷物を選び、準備して走り始めるのだ。 走るうちに、目指すところをもっといいとこに変えたくなったり、到着するためには荷物が足りないことに気付いたり。荷物は途中でも調達可能だが、荷物が増えると最初の速度では進まない。だからやめようか、戻って助けを呼ぼうかってなる。 持てるだけの量を担ぎながらスピードは落とさずに、走り続ける方法を選ぶこともある。頑張ればなんとかなるかな、とは精神論。でも実はがんばりは不確かだ。宇宙では危ない。 他のアプローチもある。荷物が増えたから台車を調達したいとか、手伝いを雇いたいと言うとか。 であればスタート地点に戻ってお金を稼いで買う。自然にゴールは遠のくし、再スタートできるかもわからない状況で、スタート地点に戻るくらいならこのまま両肩に荷物を載せて走ろうと無理して走り続けるのがよいか、それは十分議論して決めるべきことだろう。 誰も答えを知らない。誰に聞いても分からない。 可能性と取りうる手段を全て出して、最も良いやり方を決めるしかない。 そうやって決めたとしても、まだゴールまでには道のりがあり、ハードルもある。 厄介なのは無重力での動作というゴール間際のハードル越え。ハードルの高さを調べるが、ハードルも日々その高さを変え、前に見た時より高くなっている。高くても荷物が少なければ越えられる。だから荷物は最小限にしなければならない。 重い荷物は引き受けずに断り、軽々とハードルを跨げばいいのだ。しかし重すぎるのか軽すぎるのか 無重力のハードルの高さを測る手立てが、地上には、ない。知識と経験と想像力で予想するしかないのだ。 そんな不確かなハードルを越えなきゃいけない試練が待っているのに、計画以上に重い荷物を引き受ける必要があるのか。もしかしたらダメかもしれないのに荷物を増やしたいなんてのは、ワガママだ。増やすか増やさないか、引き返すか進むかは、荷物を持って走る人が決めなきゃいけない。荷物も持たない奴が側道からワーワー言えない。 不確かを確かにするにはやってみるしかない。そうやってテストミッションが生まれる。その時点でたち戻るのが正解だ。 そう、一回で完全な成功を求めるなんて、とんでもないこと。何事も簡単なことの積み重ね。難しいことも分ければ簡単。最後に成功すれば良い。最初から成功を求めてしまうのは、おごりだ。能力の過信だ。だからステップバイステップの重要性を認識しよう。 できそうもないことをやろうとするのは無謀って言う。やれることの積み重ねで最初のできそうもなかったことへと近づけていく。私はそれが挑戦だと思う。 テスト、試し、デモミッション。その一つ一つにもちろん意味がある。慎重にやらなければならないことだからこそ、何回かトライできるような実験の設計がいるのだ。
by yanosachiko
| 2016-05-05 12:24
| 仕事
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